芸能界ピアノNo.1決定戦(TEPPEN)を決める番組を過去何度か観てきたけれど、一番レベル揃った戦いだったと思う。優勝したなのはなさんの一回戦のX JAPANの「紅」を聴いた時、この人が優勝するだろうと感じた。音がたくさん重なっても濁らない高い技術力と、間と空間を自在に操る柔軟な音楽性、緊張する舞台でも深い集中力を持続させる本番力が一番良かった。
桐朋学園大学卒業したことや、コンクール歴を見ても小さい時からの努力の積み重ねの上に今の演奏があることが頷ける。2位の小林萌花さんも基礎がしっかりしていて、接戦だった。決勝には、残れなかったけれど、印象に残ったのは演歌歌手の望月瑠叶さんやアナウンサーの泉水はる佳さんセレブタレントのコルファージュリアさんだ。
UnsplashのEbuen Clemente Jrが撮影した写真
皆共通するのは、音に自分の思う情感をのせられること。これができるようればピアノがうまいと誰もが納得するだろう。速弾きや難しいアレンジを弾きこなすことは、運動のように練習量でカバーできる部分は多いが、自分の表現したい音楽を音にすることは、ピアノに向かっている時間以外の経験や感受性の高さがものを言う。もちろん正しい身体の使い方が基本にあることが最も重要だ。
身体の使い方で私が最も重要であると思うのは、手首の柔軟性だ。ここがいつでも力を抜くことが自在にできるとメロディーはしなやかに和音やオクターブの連続でもペダルの併用しながらレガートに聴こえる。手首を抜くことはピアノを始めた年齢が遅いと割と難しい印象だ。これは小さいうちに良い先生からぜひ身につけるべき事だ。いくら感受性が高くても表現できる術がなければ、意味がなくなってしまう。
「TEPPEN」を見ながら出場者が、小さい時からどのようなクラシック教育を受けているのかが、透けて見えた。速弾きテクニックはもちろん音楽性のある出場者が多くて面白かった。はのはなさんは、決勝戦で最終出場者として相当プレッシャーがかかり、力んでしまい思うように演奏出来なかったと本人も言っていたが、持っている実力が凄いのでカバーできたといえるだろう。
普段ピアノ以外の芸能のお仕事をしながら、難曲アレンジを弾きこなすことは相当な試練であったに違いない。皆さん新たな扉を自ら開くため相当な覚悟で本番を迎えたことは確かだ。次回はどんな出場者が出てくるのか今から楽しみである。
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